にほんブログ村 教育ブログ 教育コーチングへ
にほんブログ村

日々雑感

日々の他愛ない雑感を記しています。読書、芸術、随想、少し仕事のことなど。

今年の10冊、否、1冊

読書録です。
(書きかけ)

何人かの方が「10冊」で書いていたので、面白い企画だなぁと思い、自分と今日一日、考えてました。

が、リストを挙げていくうち、殆ど読みこなせてもいない名著を羅列するのもどうかと思い、一冊に絞る事にしました。


今年読んだ、印象深い一冊は、やはりこれでしょうか。

(ちなみに今読んでるのは手頃なサイズだと思い買ったレクラム版です)

初めに断りますが余りにも手に余り恐れ多いので、内容の批評は行わずこの本と向き合う今の気持ちだけを書きます。



さて。
戦争論といえば、言わずと知れた、戦争、戦略の名著。
様々な人の様々な言葉で、唯一無二の価値を認められてきた本書。

実は今までこの本がなぜこの様な扱いを受けるのか、実感をもって理解出来ませんでした。正に自分の無知蒙昧を、恥じ入るばかりです。

思えば学生時代、一応読んでおくべきかと購入、めくりはしたものの、当時の軍事知識の浅さから完読も儘ならず、その意図するところは殆ど理解出来ず仕舞であったろう、と思います。最後は惜しいことに、卒業前に古本屋に売って来てしまいました。

それから約10年、職業人として、ようやく出会い直し、本当に読んでみようという気になり、買い直したのが今の一冊です。

今の自分にとってのこの本の存在意義は、何か?
某ゼミでの教材としての出会い、仕事を通じた考察、他の読本との共鳴、そういった要素があるでしょうか。

勿論まだ全く読みこなせてはいませんが、読む程にこの本の奥深さを感じます。

一つの例として、フランス革命を巡る考察の鋭さが、印象的です。著者は、フランス革命が戦争に与えた本質的変化を読み解くと同時に、そこから度々取り上げられる、戦争と政治の関係に関する考察を行っています。

周知の通り、この著者はフランス革命とそれに付随するナポレオン戦争の動乱をプロイセン将校として目の当たりにし、その経験を一つの契機として本書執筆に繋がる思索を深めます。

現代の我々は、多くの優れた歴史的文献から、当該事件の世界史的価値や外交・軍事にもたらした画期的変革等を俯瞰することができます。

しかし、当時勿論重要な補職にあったとはいえ、歴史的評価の全く定まっていなかった、そして祖国を巻き込む大事件に対し、一将校の立場からこれほど明晰な考察を加え得るのは、驚くべき、としか言えません。

また、戦争の本質に纏わる論争や、摩擦等様々な概念等、未だ議論が決着していないこと自体が、本書が提示する問題の普遍性を示唆しているとも言えます。

この戦争論は著者の急逝から未完の書と言われ、難解さ等から当初は殆ど売れず、また様々な誤解からの批判も受けて来ました。それが昨今、様々な要因から、特に戦略研究の分野で、読み直しが行われているようです。

転じて今時を眺め、残念なのは、同名の本や漫画が乱立し、原点たる本書がなかなか顧みられていないこと、でしょうか。

もちろん時代に応じた様々な表現や創作活動があって然るべきではありましょうが、やはり時間の淘汰をへて生き残ってきた古典にこそ、正誤引っくるめて、繰り返し読み直す価値があるのではと思います。

「戦争論など古いのではないか?」
そういった批判や指摘も恐らくあるでしょうし、安全保障研究の観点から、その今日的有用性に疑問を呈する議論が存在するとしても、驚くにあたりません。

しかし一方で、この本がこれまでに獲得してきた地位と影響の大きさは無視する事が出来ません。

例えば、同盟国たる米国軍においては本書の研究が盛んに行われ、現代における軍事の変革にも少なからぬ影響を与えてきました。

そんな彼らの考え方や行動の一つの準拠を知る上でも、原典に尋ねる事が必要になります。

また先にも少し触れたように、米英中心かとは思いますが、学術界においても本書を巡る議論は盛んになされているようです。

それらの動向を知ることは将来の安全保障、戦略論を巡る議論をフォローしていく上で、不可欠です。



以上、徒然と思うところを書いてきました。
自分自身、理解には遠く及ばず、恐らく一生読み続けることになると思います。

良い本とは何度も読む価値があるものだし、そもそも直ぐに理解なんか出来っこないものだ、と最近漸く理解出来ました。

そんな出会いに、感謝です💡
来年もよろしくお願いしますm(_ _)m